※注意※
これより先は、9話の「元彼」を読んでいない方にはネタバレな内容となっております
それと、元彼君とまだ付き合っていた頃のお話になりますので、ご注意くださいませm(__)m














オレンジ=高森
赤=ヒロイン




「……物乞いでもしながら帰ってきたのか、お前は」

「今日は……ハロウィンで…店も、コスプレデーみたいになってて……」

「ああ、それでその大荷物か。って事は何? それ全部お菓子なの?」

「うん」

「見して見して」

「つかれた〜」

「うわすっげ。尋常じゃない量だぞ」

「店側なんだから、仮装してる方なんだもん。
コスプレしといて、『トリック オア トリート』を言わない訳にもいかないでしょ。
言ったら言った分だけ、お菓子は増えてくしもう……」


「ふーん……」

「もー、『トリック オア トリート』は言いたくない! 来年まで絶対言わない!」

「はいはい、おつかれ。んじゃ、俺が代わりに言ってやろうか?」

「は? ああ、お菓子欲しいの? いいよ、別に、持ってっても――」

「『トリック オア トリック』」

「んー、何がいい? チョコでもクッキーでも何でも――今何て言った?」

「あ、間違えた」

「ああ、ビックリした……」

「この場合、『トリック アンド トリック』か?」

「何言ってんの、真面目な顔して!」

「『トリック アンド トリック』v」

「表情を変えろって意味じゃない!」

「いいから早く、どっちがいいんだよ」

「選択肢にさえなってないのに、どっちも何もないよ!」

「しょうがねーなー。じゃあ、……『トリック オア トモ』?」

「と……っ」

「どっちがいい?」

「トモ……そもそも、『トリック オア トリート』は『お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうよ』って意味なんだから、
『トリック オア トモ』だと、『トモをくれなきゃイタズラ〜』って意味になっちゃうんじゃ……」


「あ、そうなの? って事は『トリック オア ユー』が正解?」


お前をくれなきゃイタズラしちゃうぞ☆


「……トモ君、私が言いたいのはそういう事じゃありません」

「何か、面倒臭くなってきた」

「そうだね……。面倒臭いね……」

「どれ食べてもいい?」

「いいよ。私はもうお腹いっぱい」

「あーんv」

「だ、だからお腹いっぱいだってば! しかもそれ、私が嫌いなやつ!」

「お前、俺にそんな事言ってきくわけないだろ」

「ああもう、そうだったね……」

「ほら、あーーん」

「う、うわ、ちょ、く・ち・に・ね・じ・こ・ま・な・い・で〜!」




「なー?」

「……なに?」

「あれ? 怒ってんの?」

「言わなきゃ分かんない?」

「ハハッ、で? ちなみに、イタズラと俺だったらどっちが欲しいの?」

「……分かってて訊く癖、直しなよ。それに、それ、どっちを選んでも一緒じゃない?」

「お前こそ――」


言わなくても分かってもらえる事に甘えて、言葉にしない所、直せば?


「ま、お互い今更修正きかないか」

「どうしたの、嬉しそうな顔して」

「そんな顔してる?」

「うん、なんとなく」

「気のせいじゃない?」

「そう?」

「うん。俺が嬉しそうな顔してるのは、お前苛めてる時だけだもん」


……


「今まさにそんな顔になった!」

「はい、ピンポン。大正解。さー、ご褒美は何がいいかな〜?
ああ、分かってて訊いちゃ駄目なんだっけ?」


「ちょ、ちょ、ちょ」

「じゃ、遠慮なく不言実行致しま〜す」

「ちょっとタンマー!」




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