緑=佐伯
青=倉橋
赤=ヒロイン

【ゲーム篇】

「はい、みなさん、ご機嫌いかがー?
フランス料理なんて食べた事ないぜちくしょう佐伯カズナでっす!」


「ご機嫌いかがー?
フランス料理、えー、一回食べに行って、
あまりのお値段の高さにそのまま帰りたくなった倉橋トキヤです」


「ご機嫌いかが?
フランス料理……よりも
ラーメンが好きな貧乏舌
――この挨拶は何なんですか?」

「自然と口から出ました」

「そ、そうですか。
さて、今回ご紹介するゲームは、
フランス料理店が舞台の『プティフール』です」


「さあ! たつ君について一言!」

「はい! ビタミンX DS版をプレイした直後だったんで、
力の限りに胡散臭かったです!」


「ええええ!?」

「さっきまで『俺を愛せ!』と連呼してたとは思えない程の爽やかっぷり!
ビタミンと同様に、OP・EDとたつ君が担当しているんですが、
もうのっけからあまりの変貌っぷりに我が耳を疑います」


「エロ声なんかなかったもんなー」

「キャラが純情熱血一直線バカですからね。
残念ですが、当然といえば当然です。
あまりのギャップに引っくり返りそうになりますので、
皆さん是非、ビタミンをプレイ後にこのゲームを!」


「その結論はおかしくない!?」

「エロ路線皆無ですので、
そっち系が好きな方にはあまりお勧めできません。
ですが、ヒロインを一途に想い、
懸命に助けようとする姿は母性本能をくすぐられます」


「お前にそんなものが……!」

「いえ、私はあまりありませんので、
ツボにはハマらなかったわけですが。
ええと、そうですね、ワンコ属性ありな方はGOです」


「システム面は? 快適?」

「クイックセーブ・ロードはさくさく出来ました。
メッセージ履歴も、読み返せるだけでなく、
実際にその部分まで戻せるというのは便利です。
選択肢のやり直しが可能ですからね。
蜜×蜜ドロップスをプレイされた方なら
分かると思うのですが、あんな感じです」


「けど、バグがなあ」

「そうなんですよ」

「ああ、あれね。限定版の」

「限定版には『アナザーストーリー』というものがありまして。
誰か一人でもクリアすると、
そのシナリオがプレイできるようになるのですが、
これが恐ろしい罠で」

「そのシナリオをプレイした後に、ゲームの電源切らねえで、
普通に本編プレイし出すと、セーブ出来ねえんだよな」


「何の呪いかと思いました。
しかもそれに気付いたのが結構な時間プレイした後で。
泣く泣くセーブなしでラストまで突っ走りましたよ。
ふざけんな」

「クリア出来た頃には夜が明けてたもんね〜」

「ちなみに、本編を全クリしてからアナザーシナリオを始めないと、
コンプ記念スチルが見られないバグもありますよ☆」

「キレてるキレてる」

「メーカーに問い合わせれば、対応もしてくれるそうなんですが、
面倒臭いんで放置です。
そもそも、この『限定版にのみシナリオ追加』って仕様にも、
ユーザーからは非難轟々だったっていうのに、最終的にはこの有様!
一言言わせてもらうとすれば、
『二度とやるな』」

「で、シナリオは?」

「金太郎飴で、とてもこの会社らしかったです」

「俺、途中で外出て、随分時間が経ってから戻ってきたのに、
また同じシーンで同じ台詞だったもんね」


「既読スキップフル稼動です。
もちろん、個別ルートのシナリオは程ほどにニヤニヤ出来ましたよ。
個人的に『おぉ』と思ったのは、悠太先輩の××シーンですね。
事務所の仕切りカーテンが
いつ活用されるのかと思っていたら、ああくるとは!

せいぜい和樹辺りが、
着替え中にうっかり開けてしまいあたふたぐらいかと思いきや、
いい意味で予想を裏切ってくれました。ごち」


「あー、俺、聞いてて思ったんだけど、
BGMがぶつ切れでちょっと気になった」


「あ、俺も俺も。何なの、あれ。ループが上手くいってないの?」

「それもこの会社らしいところです。
小さな事ですが、イラッときますので、
神経質な方や、私のように『聴覚命』な方はお気を付けください」


「キャラはどうだったの?
たつ君のも含めて」


「みんなそれぞれ個性的で愛着持てましたよ。
基本的に全員『いい人』で、店もヒロインも大事に想ってくれてますし。
一番良かったのは、小野大輔さん演じる誠二さんでしょうかね」


「ああ、山根君か」

「今、何気にマニアックな事言いましたよ、あなた。

確かに『胃痛キャラ』ですがね。
普段は落ち着いている、大人な男の人が、
小娘(ヒロイン)に振り回され、堕ちていく様はやはり堪りませんね」


「ああ、また無駄にいい笑顔を……」

「嫉妬イベントでの大人気ない態度も微笑ましいですし、
ちょっと大胆な行動を取ったヒロインが去った後に一人、
『あの子は俺を殺す気か…!?』と
呟くシーンなんてもうニヤニヤニヤニヤ」


「で、結論は?」

「コンプリートも一週間あれば出来ますし、
不具合に陥らないよう気を付けていれば、
快適にプレイ出来るのではないでしょうか。
スチルの数は少ないですが綺麗ですし、キャラ萌えもあり。
声優は言うまでもなく豪華。
ただ、これだけは一言。

限定版アナザーシナリオ、大した事ないですよv」


「……それほどこだわりねえんだったら、通常版でも問題ない、と」

「キャラの名刺なんて、ホント、持っててどうしたらいいのやら……」

「は〜、長々と喋ってたらお腹空いてきました」

「だな。んじゃ、じゃ〜んけ〜ん、」

「ポイッ!」

「はい、トキヤの負け〜。
ってなわけで、お前の奢りでフランス料理な」

「ええええ!? なんで!?」

「まあ、この流れだったら必然的にフランス料理になりますよね」

「フランス料理の話なんて、冒頭の挨拶でしかしてないよ!?
ってか、ラーメンのが好きって言ったじゃん!」


「倉橋さんがご馳走してくれるなら、きっとフランス料理だって美味しいです」

「いや、普通にラーメン奢らせてよ!」

「いや〜、俺、初めて食うんだよな〜。
和樹が連呼してた所為で、アミューズグルだけはバッチリだぜ」


「ゲームの知識を活かす時が来ましたねー」

「よっしゃー、バッチコーイ」

「待ってよ、二人とも! 何でこんな時だけ息ピッタリなのさ、も〜!!」








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