緑=佐伯
青=倉橋
赤=ヒロイン

【ゲーム篇】


「今回は佐伯さんにお任せした方がよさそうですね」

「ってことは……」

「『パレドゥレーヌ』だ、こんちくしょう!」

「こんちくしょうとは何事ですか。
ビタミンに続くメガネ男子ですよ。
ほら、ご一緒に。ひゃっほーい」


「ひゃ、ひゃっほ〜い」

「どんだけお人好しなんだお前は」

「PC版とPS2版が発売されてますが、
たつ君好きなら断然PS2をお勧めします。
出番が『何があった!』ってぐらい増えてますので」


「ただなあ、これ、キャラがキャラなんだろうな。
鈴木達央が演じるヴィンフリートって男は、
国の執政官で、年の割にはすげえ落ち着いてて、
常に小難しいこと喋ってんだよ。淡々とした口調で。
淡々とし過ぎてて、声が聞こえねえ! 聞こえねえよ、たつ君!」


「私もプレイ中はBGM音量1にしてましたからね」

「まあ、音量さえいじっとけばOKだな。
ひたすら喋ってるぞ、たつ君は。
攻略中はもちろん、誰をプレイしてても絡んできやがる」


「確かに。ヴィンフリートが喋ってる時は、
スキップさせてくれないもんだから、こらまたゲームが進まなくてねえ」

「そうだよ! 攻略キャラが35人もいるってのに、
お前はヴィンが出てくる度に一言一句聞こうとしやがって!」


「フルボイスってわけでもないんですから、
いいじゃないですか。それぐらい。ケツの穴の小さな男ですね。名器ですか」


「お前はどこに恥じらいを置き去りにしてきたー!!」

「あああ、また話が脱線して……。
ええっと、ヴィンフリートで一番お気に入りのシーンとかある? カズナ」


「それを俺に訊くのはおかしくねえか!? どんだけ天然だ!」

「さすがに私が答えますね。
そうですねー、やっぱりEDは当然おいしかったです。
さっき佐伯さんも仰ってましたが、
ヴィンフリートはずっと淡々と喋ってる事が主なんですよね。
もちろん、エクレール(姫のお世話係)と口論する事はあっても、基本抑揚のない声です」


「お姫様の為、国の為に、感情を押し殺しちゃってるタイプだもんね」

「そう! そんな彼が、EDで自分の感情を姫に、
私に対して吐露するシーンがもう……ごちそうさまです」


「ヨダレを拭け」

「あのシーンは何度見てもいいですね。
『常に姫の事を第一に考え、
思ってきた自分以上に、姫に相応しい相手など〜』……。

是非、たつ君ボイスで堪能してほしいシーンです」


「本当に大好きだねえ」

「何を今更」

「シミュレーションっていっても、そこまで取っ付きにくいわけでもねえしな。
わけが分かんなかったら、最初は執政官にお任せしときゃいいし」


「ただ、この執政官、時々本当に訳の分からない政治をするけどね」

「本当にね。執政官の行動を見て、
『何アホな事やらかしとんじゃこいつはぁ!』って思えるようになったら、
多分もう大丈夫です。ご自分で国を動かしてください、姫様」


「これ、最初は本当にいい国にしようって頑張るんだけどなあ」

「プレイをした8割の姫様は、
何故か血塗られた道に走るんですよねえ。
暗殺とか。断頭台の露とか。パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」


「お前、嬉々として毒殺しまくってたもんな」

「人聞きの悪い。コンプの為ですよ、コンプの」

「収集癖のある人にも楽しめそうだよね。
家具とか、アイテムとか、衣装とか。凄い数なんでしょ?」


「はい、それはもう。
野郎共から送られてくるドレスや宝石も、
実際身に付けられますしね。
ただ、顔グラフィックに反映されないのが残念でしたけども」


「そりゃお前、シリアスなシーンでネコミミみたいな頭してらんねーだろ」

「そりゃまあそうなんですけどね。
あと、姫の名前は変更不可です。こだわりある方は要注意ですよ」


「今時珍しいんじゃない? 大抵変更できるよね?」

「そうですね。
声付きで名前もちゃんと呼んで欲しいって方もいるみたいですから、選べるといいんですけどね。
変更もできて、デフォルト名のままプレイしたら、呼んでもらえる、みたいに。
ちなみに私は普段本名プレイです」


「それを言うなら羞恥プレイだ」

「……他人に言われるとムカつきますね」

「あ、やばい雲行き」

「今度、また新しくゲーム持っていきますよ」

「もう俺は乙女ゲームはやんねえぞ!?」

「いえいえ、私がプレイしますんでご心配なく」

「何のゲーム?」

「ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Season。ときメモGS2のDS版。
このゲーム、デフォルト名じゃなくても、
ちゃんとキャラが名前で呼んでくれるんですよ」


「へー、そりゃよかっ、…た、な……?」

「察しがいいですね。当然、『佐伯カズナ』でプレイ予定ですので、お楽しみに」

「ふざけんなー! おま、な、な、な、なんっっだそれ!?」

「羞恥プレイです」

「いやあああああ!!」






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