緑=佐伯
青=倉橋
赤=ヒロイン

【ゲーム篇】


「はい、今回は『パニックパレット』です」

「『リトルエイド』って作品の続編になるんだっけ?」

「続編というより、舞台が一緒って感じですかね。
前作を知らなくてもプレイは可能です。
たつ君演じる『内沼葛』は、前作からの出演ですけどね」


「ポジションは……従兄のお兄ちゃん?
あー、優しくて穏やかで、みたいな?」


「半分正解です。
彼は、ヒロインにのみ優しいですから。
そのせいで、プレイ中、かなりもどかしかったんですけどね」


「どうして? 
自分にだけ優しいなんて、分かり易すぎる好意じゃない」


「それがですね、
彼にはノリちゃんという親友がいまして。無論男の。
その人にはドS全開で接するんですよ。
普段ヒロインに接している態度とは正反対な態度で!
 その様子がそれはもう心の底から楽しそうで。
途中まで、本気で
彼はノリちゃんが好きなんだと思ってました」

「つい妬いてしまったと」

「あれは、葛ちゃんファンなら思うんじゃないでしょうか。
『乃凪先輩、そのポジション代われ』」

「ノリちゃんも代われるものなら代わりてえだろうよ」


「まあそんな段階を経たからこそ、
EDの『俺、いじめっ子〜』云々の台詞が映えるんでしょうけど。
あれはよかった!」


「たつ君抜きにした最萌えは?」

「ダントツトップで球体です。
敬語で執事で理不尽な俺様って、
それどんな私向けサービスですか!」


「萌えられりゃ人外もありなのか……」

「今更何言ってるの。
『鈴木達央がさっきまで付けてたのよー』って言えば、
ただのメガネにだって萌えられるよ、きっと」


「拝みますね、多分。
話を戻します。シナリオについてなんですが、
残念ながら個別ルートに入るまでは金太郎飴です。
飽きて仕方がありません」


「ダメじゃん。当然スキップはできるんだろ?」

「二回目以降は『シーンスキップ』ができるのですが、
これがまた普通の既読スキップとは違って、
キャラの立ち絵や早送りされてる台詞が表示されず、
 『飛ばしますか?』の一言ですっ飛んでいくものですから、
自分が今どのシーンを飛ばしたのか分からない」


「章の名前だけで、
中身がどんな内容かなんて一つ一つ覚えてないもんなあ」


「その章の名前は、
なかなか面白くて一見の価値ありなんですけどね。
力の入れ所が微妙にズレています、このゲーム。
沢登手帳とか。『つまりは僕を愛せばいい』。
腹抱えて笑いましたよ私。アホがいる! 
いい声で変態なアホがいる!」


「ああ……あの時か……」

「夜中、その笑い声で俺とカズナ飛び起きたんだよね」

「あんなにも、『起きなきゃよかった』って真剣に思う事、そうそうねえよなあ」

「人の顔を見ながらまじまじと……。
せめて小声で言う事は出来ないんですか、佐伯さん」


「そういう気遣いをお前から求められるとは」

「私は気配り屋さんですよ。
あなた方を含む一部の人間以外には」


「そこ、笑顔で空気を凍らせないで。俺が耐えられないから」

「あ、そういや俺、このワカメの声を初めて聴いた時、
鈴木達央だって分からなかった」


「そうでした! 
Vitamin Xをプレイしてたつ君にハマり、
その後、このパニックパレットに手を出そうとされている方はご注意ください」


「どういうこと?」

「まずは公式サイトへ行って、
サンプルボイスを聴いてみるのがよろしいかと」


「なんつーか、喉から出してるような声だよな。
こう……搾り出してるっていうか」


「はい。かなり好き嫌い分かれると思います。
私は好きじゃありません」

「ハッキリ言った!」

「けれど、やっぱり随所随所で萌えボイスは見つかりますし、
油断してるとメチャクチャ男前な声で喋ってたりするので気が抜けません。
私的に一番ツボだったのは、
乃凪先輩を超見下し目線から鼻で笑い飛ばした『ハッ』ですね。
何回もリピートしてしまいました」


「知らねーよ」

「分かんないよ」


「他人の萌えポイントなんてそんなモンです」






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